応募が来ない採用ホームページ、どこから直す?|紙上クロストーク

応募が来ない採用ホームページの立て直しを執筆者と監修者が紙上クロストークで解説するインフォグラフィック。切り分け・費用ゼロ改善・作り直し基準を図解。

応募が来ない採用ホームページの立て直しは、「見られていないのか、選ばれていないのか」の切り分けから始めるのが定石です。流入経路と原稿の訴求を確認し、募集要項の具体化や導線の整備といった費用をかけずに直せる箇所から着手します。システムや契約といった「器」、またはターゲット設定という「設計」のレベルに問題がある場合は、部分修正ではなく作り直しの検討に進みます。

「採用ホームページはあるのに、応募がまったく来ない。でも、どこから手をつければいいのか分からない」

この悩みは、当メディアに寄せられる声のなかでも、もっとも切実なもののひとつです。そこで今回は、編集部が同じ問いを執筆者・深澤 里奈と監修者・林田 結衣のそれぞれに書面で投げかけ、寄せられた回答をそのまま掲載する紙上クロストーク企画をお届けします。発注・契約・ツール選定を専門とする執筆者と、求人原稿・採用設計を専門とする監修者。同じ問いへの答えがどこで分かれ、どこで重なるのかにご注目ください。当メディアの調査・編集方針は調査概要・評価基準で公開しています。

応募が来ない採用ホームページの立て直し|結論はこの6行

  • 本記事は、編集部の同一の問いに執筆者・監修者が書面で回答する紙上クロストーク企画です。
  • 最初の確認は、「見られていない」のか「選ばれていない」のかの切り分けです。
  • 費用をかける前に、募集要項の具体化・原稿の書き直し・流入導線の整備で直せる範囲があります。
  • 作り直しの判断基準は、システム・契約という「器」の問題と、ターゲットのズレという「設計」の問題です。
  • これから作る企業の準備は、「誰に・何を・どう伝えるか」の言語化から始まります。
  • 2人の回答は、入口は違っても「制作前の採用設計」に合流します。

問い1|「応募が来ない」相談を受けたら、最初に何を確認しますか?

最初の問いは、立て直しの出発点についてです。応募が来ないという同じ症状でも、原因の探し方は専門によって異なります。2人がそれぞれ最初に見る場所を聞きました。

深澤 里奈深澤 里奈

私が最初に確認するのは、アクセスの数字です。応募が来ない原因は、大きく「そもそも見られていない」と「見られているのに選ばれていない」の2つに分かれ、対処法がまったく違うからです。年間30社以上の支援で立て直しのご相談を受けてきましたが、体感では前者、つまり「そもそも見られていない」ケースが大半なんです。求人媒体の応募ページから採用ホームページへのリンクが張られていない、社名検索で別のページが先に出てくる、といった導線の欠落が典型ですね。数字を見ずに「デザインが古いからだ」とリニューアルに進むのが、いちばんもったいないパターンです。

林田 結衣林田 結衣

私は逆に、数字より先に募集要項と原稿を読みます。確認するのは「この文章は、誰に向けて書かれているか」の一点です。どの会社の採用ページに載っていてもおかしくない言葉だけで書かれていたら、見られていても選ばれません。仕事内容が3行で終わっていないか、給与や休日が「当社規定による」で済まされていないか、応募ボタンまでの道のりが遠くないか。候補者は応募の直前がいちばん慎重になるので、最後のひと押しを原稿がどう支えているかを見ます。求人原稿の改善支援では、ここを直すだけで応募率が変わる場面を何度も見てきました。

編集部より:入口は「数字」と「原稿」で分かれましたが、2人とも「見られていないのか、選ばれていないのか」を切り分けてから動く点は共通です。応募が来ない状態を含む失敗の全体像は、別記事「採用サイト制作の失敗|典型7パターンと発注前の回避策」で段階別に整理しています。


問い2|費用をかける前に、自社で直せるところはありますか?

立て直しと聞くとリニューアル費用を思い浮かべがちですが、その前にできることはないのか。優先順位とあわせて聞きました。

深澤 里奈深澤 里奈

あります。優先順位の1番は、募集要項の最新化と具体化です。募集が終わった職種が残っていないか、条件が現在と合っているか。これは費用ゼロで、今日できて、効果も大きい。2番は流入導線の整備です。求人媒体・ハローワーク・自社の会社案内ページから、採用ホームページへのリンクがきちんと張られているかの総点検ですね。地味ですが、これだけで「見られていない」問題が解消することがあります。費用をかけるのは、この2つを済ませてからで遅くありません。それでもリニューアルが必要になったときのために、見積もりの読み方は別記事「採用サイト制作の費用相場|4つの価格帯と見積もりチェックの要点」にまとめてあります。

林田 結衣林田 結衣

私の答えは、原稿の書き直しです。写真の撮り直しにはカメラマンの手配が要りますが、言葉は今日から直せます。コツは、抽象的な形容詞を具体的な事実に置き換えることです。「アットホームな職場」ではなく「毎朝10分の朝礼のあとは、それぞれ黙々と集中する職場」。「充実の研修」ではなく「入社後3カ月は先輩と2人1組で現場を回る」。候補者が働く自分を想像できる材料を渡すことが、原稿の仕事です。1日の流れ、入社の決め手になった先輩の一言、数字で言える事実。この3つを足すだけで、原稿は見違えますよ。

編集部より:2人に共通するのは「言葉と導線は費用ゼロで直せる」という視点です。お金の話が出るのは、そのあとでした。


問い3|「これは作り直すしかない」と判断する症状は?

部分修正で粘るべきか、作り直しに踏み切るべきか。立て直しの相談でもっとも判断が割れるポイントについて、それぞれの見極め基準を聞きました。

深澤 里奈深澤 里奈

私の基準は「器の問題かどうか」です。スマホで見るとレイアウトが崩れる、更新のたびに制作会社への依頼と費用が発生して事実上更新できない、そして写真・原稿・ドメインの権利やデータを自社が持てていない契約になっている。この3つは、中身をいくら磨いても器が足を引っ張り続けるので、作り直し、正確には器の乗り換えを勧めます。とくに権利まわりは、前の契約の確認から始める必要があるので早めの着手が肝心です。契約段階で何を確認すべきだったかは、先ほどの失敗パターンの記事で詳しく書いています。

林田 結衣林田 結衣

私の基準は「ターゲットのズレ」です。たとえば、新卒向けに作ったページのまま中途採用を始めた、現場職の採用が主戦場になったのに本社スタッフ向けの世界観のまま、というケース。採りたい人が変わったのに、ページが昔のターゲットを向いたままなら、部分修正の継ぎ足しはかえって全体をちぐはぐにします。誰に向けるかが変わったときは、構成から考え直すタイミングです。逆に言うと、ターゲットが変わっていないなら、原稿と写真の入れ替えで立て直せる余地はかなり残っています。

編集部より:深澤は「器」、林田は「設計」。作り直しの判断基準が、システム・契約面とターゲット面できれいに分かれました。どちらの症状もない場合は、問い2の範囲で粘る価値があるということでもあります。


問い4|これから作る企業が、今日からできる準備は?

最後の問いは、これから採用ホームページを作る企業へ向けたものです。制作会社に問い合わせる前に、何を準備しておくと失敗を避けられるのかを聞きました。

深澤 里奈深澤 里奈

2つあります。1つ目は、「どの職種の、どんな人に、何を伝えて応募してもらうか」を一文で言えるようにしておくこと。これが決まっていると、制作会社への要望が具体的になり、見積もりの精度も上がります。2つ目は、現場の社員に「なぜこの会社に入ったの?」と聞いておくことです。返ってきた答えは、そのまま取材とコンテンツの種になります。準備が整ったら、依頼先は評価軸をそろえて比較してください。目的別の選び方は「採用サイト制作のおすすめ|目的別の選び方」で整理しています。

林田 結衣林田 結衣

応募してほしい人物像を、実在の1人を思い浮かべられるところまで具体化しておくことです。「20代の若手」ではなく、「いまの職場で技術は身についたけれど、評価のされ方に納得できていない入社5年目の人」というレベルまで。そこまで見えると、その人が知りたい情報の順番が決まり、ページの構成が自然と決まります。実はこれが採用設計の入口なんです。制作会社と話す前にここまで準備できている企業は、どの価格帯を選んでも大きくは失敗しません。


編集部より|2人の回答から見えた共通点

4つの問いへの回答は、確認する場所も判断の基準も、それぞれの専門に応じて異なりました。数字と導線から入る執筆者、原稿と訴求から入る監修者。しかし最後の問いで、2人の答えは同じ場所に合流しています。それは、「誰に・何を・どう伝えるか」を制作の前に固めておくこと、つまり採用設計です。

応募が来ない採用ホームページの立て直しも、これから作る採用ホームページの準備も、たどっていくと同じ入口に行き着く。今回のクロストークが示したのは、その構造でした。編集部としては、立て直しを検討中の方はまず「見られていないのか、選ばれていないのか」の切り分けから、これから作る方は人物像の言語化から始めることをおすすめします。

2人の回答が合流した「採用設計」の考え方と進め方は、別記事で詳しく解説しています。

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